転職講座

【自分探し難民に送る】転職に効く自己分析の手法

私見たっぷりにお伝えすると、転職活動は「自己分析」のクオリティで勝負の7〜8割は決すると思っています。

というのも、自分自身の特徴や扱い方が分かっていない状態で、社会の中で適切な場所に自分を配置するのは難しいからです。

まあ、「自己分析は大事」と色んなところで言われているので、多くの人がその重要性は認識していることでしょう。

問題は、「自己分析ノウハウ」も玉石混交なことです。

それは「自己分析」なのか「自分探し」なのか。

そもそも「分析」というのは、アウトプットに役立てるために、必要な情報を整理して、自分なりの解釈を加えることです。

そう考えると「良い転職」をするための戦略立案に役立たない、自分の中を掘り返す行為は「自己分析」とは言えません。それは単なる「自分探し」です。

世の中には目移りするほどの自己分析のツールが溢れかえっています。性格診断、適性診断、適職診断などなど...。

そういったテストを受けて「ああ、自分ってやっぱりこういう性格なんだ」と自己納得してても意味がないです。

それに、「自分史」「なんちゃらファインダー」なるものが自己分析に頻繁におすすめめされています。それを転職戦略の策定に活用できてる人はどれくらいいるんでしょう?

活用できないものはどこまで行っても「自分探し」の域を出ません。

捻くれ者の私からあえて提案するなら、自己分析は「あれもやる」「これもやる」という足し算ではなく、引き算思考で「項目を絞ってやる」のがおすすめと言えます。

転職活動で本当にやる価値のある自己分析とは?

前提として、転職活動において軸とすべきは「強み」だということを忘れてはいけません。

転職活動に関係のないノイズに囚われすぎると、それまで培ってきた「強み」を見逃してしまう可能性すらあります。

「自分は過去こうだった」「こんな出来事が自分を変えた」「こんな出来事があったときは輝いていた」...

自分のことを語ったり、過去のことを振り返るのは気持ちが良いです。

ただ企業が知りたいのは、「で、ウチの利益にどうやって貢献してくれるの?」ということに尽きます。

だからこそ「強み」を軸とした自己分析が最も大事なのではないかなと思ってるわけです。

「仕事は強みでしか評価されない」
(by 某テーマパークの業績を回復させた著名マーケターの方)

では、人材マーケットで評価される「強み」とは何でしょう?転職活動で使える強みは6つの要素に分けられます。

人材マーケットでの価値につながる「強み」の6エレメント

強みというと「経験」とか「スキル」を思い浮かべる人が多いかもしれません。ですがそれだけでは強みを徹底活用できてるとは言えません。

具体的にはどんな要素があるか?

(1)専門知識
(2)経験・実績
(3)人間性
(4)人脈
(5)目的意識
(6)情熱を感じること

この6つの組み合わせが、あなたという人材価値の正体、つまりは「オリジナリティ」です。ピンとこない方もいると思うので、少し噛み砕いて解説していきます。

(1)専門知識
業界知識や特定職種として社会的役割を担うための知識。

(2)経験・実績
専門知識を使って取り組んできたこと、その客観的な結果

(3)人間性
あなたの気質や性格を表すもの。例えば、クリエイター気質やリーダー気質、人当たりが良い、細かい部分に気が回るなど。

性格や気質は、ある場面では弱みでも、ある場面では強みに変換できます。

「細かい部分に気が回る」という性質は、細部が気になって行動に移せずスピード感に欠ける一方で、詳細をチェックして管理する立場では強みとなります。

(4)人脈
「有力なベンダーとのコネクション」「金持ちから出資を得られる人間関係」なども立派なコネクション。自分単体ではなく、自分と繋がりのある人も含めたチームで仕事をしてる、と捉えておくとイメージしやすいかも。

(5)目的意識
「何のために働いているのか?」「社会にどう役に立ちたいか?」などの使命感。

過疎化が進む故郷の発展のために町おこしをしたり、留学をきっかけに環境問題に目覚めて研究者として働いている友人が良い例。

(6)情熱を感じること
没頭できること、お金をもらわなくても続けられそうなこと、取り組んでいる時に「やりがいがあるな」と実感できること。

この6エレメントを掛け合わせがあなたの「強み」です。

漠然と「自分はどんな強みがあるんだろう?」と思っていたとしても、項目を絞って自己分析を行うことで「あなた」という商品の解像度が上がります。

解像度が上がれば、自分自身を企業に売り込みやすくなります。

「市場価値を上げよう」の正体

昨今、色々な場所で「自分の市場価値を上げよう」と言われています。

「市場価値って何よ?」とピンとこない人も、この6要素に分解するとイメージしやすいのではないかと思います。

(1)〜(4)は自分自身を売り込む時に、企業側の利益に直結する具体性の高い武器になるので、棚卸しは必須です。

(5)や(6)は企業選びの軸になったり、この先の人生を走り続けていくための指針になります。

特に企業のミッションや求められる役割と、個人の目的意識が互換性があると「高次の自己満足」を感じながら働ける可能性がグッと高くなります。

「自己分析が大事」と言われている理由はここにあるのではないでしょうか。

マーケットで評価される「強み」の6エレメントの具体例

例えば、ざっと私個人の話をすると、

(1)専門知識
・Webマーケティングの知識
特にオンライン領域の集客や、商品・サービスを販売するスキル
・歴代勤務先での所属業界の業界知識

(2)経験、実績
業界経験:教育業界、広告業界etc...
職種経験:個人営業◯年、法人営業◯年、事業会社マーケター◯年
実績:直近のマーケター業務にて→リード獲得◯%達成、売上◯%アップに貢献

(3)人間性
・クリティカルな思考が得意で数値を扱うことや分析に強い
・一方で新しいアイデアを生み出すのは少し億劫

(4)人脈
・歴代所属企業の同僚
・お世話になったサプライヤーとのつながり
・大学体育会のネットワーク

(5)目的意識
個々人が強みを活かして前向きに働ける世の中にしたい、不効率がない世の中にしたい

(6)情熱を感じること
・正しいことをして儲かること
・人の才能を解放すること
・物事を分析して最適解を導き出すこと、最適化すること
・健康寿命を伸ばすこと

どうでしょう、イメージしていただけたでしょうか?

ここで挙げたのは、この記事を作った時点の「私の価値」であり、時間の経過とともに変わるものです。というか、変わらないとキャリアを積んでいるとは言えません。

私たちも、ワインのように時間の経過とともに芳醇になっていかないといけません。

「年齢の割に奥行きのない味ですねと市場から評価されてしまうとキャリアとしては厳しい末路が待っています。

リラックスできる環境でコーヒーでも飲みながら、紙とペンを用意して「あなたの価値」を棚卸ししてみてください。

「私にはオリジナリティなんてありません」と謙遜する人が多いこと。

ただ、こうして棚卸ししていくと1人として同じ人はいないことに気付くはずです。その「違い」が転職活動においてあなたの武器となります。

ここを自分自身で認識できているか否かで転職成功、ひいては中長期的なキャリア構築へのインパクトはかなり大きいです。

まあこうやって考えるのも面倒なので、やる人は少ないでしょうけど。

自己分析・応募書類の作成ができてから応募企業選びに進むといいです。

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