現代経営学の祖、ピーター・ドラッカーは、マーケティングを「商品を売らずして売れる仕組みをつくる」ことだと言っています。
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
P.F.ドラッカー.『マネジメント【エッセンシャル版】』. ダイヤモンド社
「売れる仕組み」とは何か?本質をエスプレッソのごとく抽出してみると「人を動かす」ことに尽きると思っています。
「人を動かす」ための超基本的な2ステップ
会社やブランド、商品の存在を知らないユーザーに対して、認知を促し、商品の必要性を想起させて購入に結びつける。
「人を動かす」ためには、感情を強く揺さぶることもあれば、理性に働きかけることもあります。
では、人を動かすために必要なことは何か?僕は現場経験から2つのステップが必要だと理解しています。
①相手のことをよく理解する
②適切に働きかける
たとえば、あなたが保険のセールスマンと商談をして、こちらの状況も対してヒアリングせずに、
「月額1万円払ってもらえれば、亡くなった時に1,000万円受け取れる保険があります。入ってください。」と言われたら契約しますか?
たぶん契約しませんよね。
そもそも死亡保証が必要か、必要だとしても1,000万円という保険金が適切か、あるいは月額1万円という負担が現実的か、営業マンは独断と偏見の妄想で提案してきています。
あなたに対して「②適切な働きかけ」ができていないのは、「①相手を理解する」プロセスが欠けているからです。
この2つをすり合わせるプロセスがまさにマーケティングと言えます。
イメージできそうでしょうか?
あなたもすでにマーケターかもしれない
営業経験が豊富な人は、クライアントの要望を汲み取って、自社のサービスと接点を作ることで「欲しい」を引き出す感覚を持ちあわせているでしょう。
この感覚はマーケティングと親和性があると言えます。
そういった意味では、もし営業経験がなかったとしても「人を動かす」ことを試行錯誤して取り組んでいれば、それはマーケターに限りなく近い仕事をしていると言えると思うのです。
例えばリアルな店舗において、いかに効果的な接客で売上をつくるか、リピーターを生み出せるか考えながら仕事をしているのなら、それはもうマーケターと言って差し支えないのではないでしょうか。
一方で、マニュアル化された業務を言われた通りに正確にこなす。的なことしかしてこなかった人は、残念ながら現段階ではマーケティングの仕事はしにくいと思います。
「こうすれば正解」的なものはなく、正解を手探りで模索していくような職種と言う点でギャップがああるからです。
適性はともかく、仕事のスタンスが異なるという文脈においてです。
そういう意味では人はあらゆるところでマーケティング活動をしてるんですよね。
パパ活女子は、「お金は持ってるけど自己承認欲が満たされてないパパ」が集まっている場所に顔を出して、パパの社会的立場やお財布事情を理解して、一緒に過ごす時間に何をするかや料金をすり合わせてるはず。
これも「①相手の理解→②適切な提案」の2ステップを踏んでいます。
ちょっと例がアレですが(笑)
という具合に、人は知らず知らずのうちにマーケティングしています。自分の希望を叶えるために。
企業勤務の職業マーケターの仕事内容はこちらから垣間見ることができます。