転職講座

転職をするかどうか迷ったら考えるべき【セルフ診断の作法】

何かしらの事情があって転職を考え出したあなた。

「今の会社を飛び出すべきか?」「もう少し我慢すべきなのか?」

ここの判断を迷う人は非常に多いように感じます。

多くの人はこの辺りの要因分析をせずに転職活動を始めてしまい、焦って転職エージェントに飛び込んだり、転職サイトに登録して”なし崩し的に”転職したりします。

特に現職で強いストレスに晒されている人ほど、「今より悪くなることはないでしょう!」的な、”バンジージャンプ転職”をする傾向が見受けられます。

そして、これこそが「転職してみたら思ってたのと違った」「前の会社に戻りたい」「入社3ヶ月で次の転職を考え出す」と後悔の元凶だったりするのです。

では、失敗リスクを最小限に抑える意思決定をするためには何をすればいいのか?

転職するかどうか迷ったら最優先で考えるべきこと

結論から言ってしまうと、「転職を検討するに至った最大のストレス要因」を適切に把握することです。

せっかくこのブログをお読みの方には、ぜひここは失敗はしないように気をつけてほしいところ。

転職を検討するに至った最大のストレスの出どころ

問題の原因ではなく、問題そのものを解決しようとする対処療法的なアプローチは失敗の元です。

これは転職に限らずですが。

つまりはストレスの要因を解消するのではなく、ストレスそのものを解消しようとしてしまうことです。

イメージ湧きますか?

たとえば、

(ストレス)
「上司とのコミュニケーションが合わない」

(アクション)
「人間関係のストレスが少ない職場に転職しよう」

(ストレス)
「仕事内容が気に入らない」

(アクション)
「自分に向いてる仕事を探そう」

などです。

「コミュニケーションが合わない」「仕事内容が気に入らない」の根本原因にアプローチせずに、問題をそのまま解決しようとしていることにお気付きかと思います。

こうした短絡的なアプローチが転職後のミスマッチの元凶なのです。

ロジカルに物事を考えることに苦手意識があったり、自称「考えるよりは行動派」な人たちが陥りやすい落とし穴だと思います。

私も散々失敗を味わいましたからね...。

この記事を読んでいる方には同じ失敗をしてほしくないなと心から願っています。

問題に対処するセルフ診断の作法

これは転職に限らずですが、何か問題を抱えている時には、

  • 起きている現象の要因を数段階掘り下げる
  • 角度を変えて5W1Hを使って分析する

その後で対策を考えるクセを付けておくと人生捗ります。

先程の例なら、

(現象)
「上司とコミュニケーションが合わない」

(深掘り)
・どういったケースで合わないと感じるのか?
・ギクシャクしてしまう理由は何か?
・私or上司はどういったコミュニケーションを望んでいそうか?それはなぜか?
・コミュニケーションの作法で改善できるところはないか?

(現象)
「仕事内容が気に入らない」

(深掘り)
・どういう時に気に入らないと感じるのか?
・好きなところを増やして、気に入らないことを減らす働き方ができないか?
・転職する前に役割を変えてもらうことはできないか?それはなぜか?

などなど、事象そのものではなく、要因を掘り下げたり別の角度からみてみることで真の原因を仮説立てられます。

そのストレスは内的要因か外的要因か

分析する際のチェックポイントは、あなたが感じているストレスは内的要因か、外的要因か?ということです。つまり、自分側に原因があるのか、自分の外に原因があるのか、です。

転職してネガティブなストレスから脱しようと思っても、内的要因が元でストレスを引き起こしているとしたら、転職しても残念ながら状況は変わらない可能性があるのです。

ストレートに言ってしまうと、自分の至らなさが故にストレスが生まれ、そのストレスで苦しんでるというケース。厳しいこと言ってしまうとこの現象は、マッチポンプ、自作自演ともいえます。

最も厄介なのが、外的要因だと思っていたものが実は内的要因、自分に原因がある場合です。

元同僚Y氏のエピソード

数年前に中国人の同僚Y氏と働いていました。

20代の彼は3ヶ国語が堪能で頭の回転も早く、基本的なポテンシャルは光るものがありました。

実際に働いてみると、納期は守れない、フィードバックをもらっても同じ失敗を繰り返すという、仕事ができるできない以前のマインドセットに問題があるようでした。

彼は自分の至らなさを棚に上げて、「やりたい仕事ができていない」「上司と話が合わない」と周りを批判する始末。

同僚もフォローする余地もなく、在籍1年で退職していったのです。

外的要因は自分1人ではコントロールできないものもあるでしょう。

「業績によって会社の方向性が変わりやりたい仕事ができなくなった、強みを活かせる役割ではなくなってしまった。」などなど。

一方でマインドセットの至らなさや、思考力・スキル不足といった自分側の課題は、転職では解決できないですからね。

また、転職によって、力を発揮しやすい環境に移れる可能性はありますが、あなたのマインドセットや能力が変わるわけではないのです。ここ勘違いしないようにしましょう。

転職の怖いところ:真の要因は誰も教えてくれない

厄介なことに、転職活動を始めてしまうと「そのストレスは転職では解決できませんよ」「内的要因ですよ」と、誰かが教えてくれる可能性は限りなく低くなることです。

なぜなら、例えば転職エージェントはあなたが転職することで売上を獲得できるビジネスモデルだからです。あなたが転職をキメてくれてなんぼ。なのです。

同僚に相談したとして、あなたのことを冷静に分析して、欠点を的確に言い当ててくれそうですか?

メタ認知力の欠損がゆえに、内的要因に気付かずに転職を繰り返す「キャリアの引っ越し貧乏」に陥ってしまうと、恐ろしいことに30代に突入して何のスキルもついてない、のようになるリスクもあります。

問題の根本要因をしっかり把握するためには、厳しい裁判官になったつもりでセルフ診断することです。もしくはあなたと利害関係の少ない第三者と壁打ちしてみるのも良い方法です。

20代で年収1,000万を超える彼らの仕事の本質は?

転職支援を生業としている人には面と向かって言いにくいのですが、正直なところ転職ノウハウなんてそこまで差別化されたものはないと思っています。

原理原則さえ押さえておけば、その派生として手を替え品を替え、時代の潮流に合わせて新しいパッケージが施されているに過ぎません。

転職は、自分を売り込む活動と散々お伝えしています。と同時に、自分自身をコンサルティングするプロセスとも言えます。

コンサルタントという職種。

コンサル会社は給与が高額なことで有名です。特に経営に近いレイヤーのコンサルティングを担う会社は、20代で年収1,000万突破とかザラです。彼らはなぜそこまで高い給料を受け取れるでしょう?

端的に言ってしまうと「付加価値が高いから」なのですが、コンサルティングのどこに付加価値があるんでしょうか?

一般的にコンサルティングというと「問題を解決すること」と見られています。

しかし、実際のところコンサルタントの真価は「課題を発見する能力」にあります。医者に例えると、「病気を治療すること」よりも「診断する能力」です。

症状から病気を正しく診断できなければ、適切な処置はできませんし、真因以外の部分にアプローチしてたらむしろ状況を悪化させてしまうこともあります。

だから、「対処」よりも「診断」に価値が置かれるというわけです。

日本が誇る自動車メーカーのTOY●TAにしても、入社してまずは問題解決の作法を頭に叩き込まれると言います。「ト●タ式問題解決」と言われてたりもしますし。

転職するかどうか適切に判断するための基本スタンス:自分自身のコンサルタントとして振る舞う姿勢

現状と理想のギャップが「問題」なわけですよね。

「もっと意義のある仕事をしたいけど、実際はク●みたいな商材を売りつける仕事に終始している」「健全な人間関係で働きたいけど、上司が●●ハラ体質」などなど。

ただ、理想と現実が乖離している真因を潰さない限り、転職先でも同じ問題が現れます。

20代〜30代の方はこの先何度かの転職を経験することになると思います。それなら実は最もレバレッジが効くのは、”不”に対して自分自身がコンサルティングできるようになることです。

キャリアにおける理想と現実とのギャップに対して、自分自身で課題を発見して解決する。

そうすれば、少なくとも「転職すべきか、残るべきか迷う」といった悩みでモヤモヤすることはなくなります。

キャリアに対して「悩む」ではなく、仮説検証の一部と捉えて「考える」対象になるからです。良いキャリアを歩みたいなら、自分自身のキャリアコンサルタントになりましょう。

「悩む」から「考える」に移行するためには?

「考える」に移行するためのアイデアとして、私がしっくりきているのが「ゲーム感覚」で日々を過ごすことです。

もう少し正確に言うと、ロールプレイングゲームの主人公の感覚です。

私はバリバリのポケモン世代なのですが(笑)。

ポケモンのように主人公を真上から操作する感覚です。

自分の体から解脱して起きていることと感情の動き、思考の動きを観察するのです。この感覚を持つと人生というゲームを攻略するために、あらゆる出来事を仮説検証の一部と捉えられます。

ショックを受けたり、凹んだりするのは、自分が主人公に憑依してしまっている時です。真上からではなく、主人公目線で物事を見ている時ではないかなと。

私の感覚では、仕事しているときはゲーム感覚、趣味やレジャーをやっているときは主人公感覚という使い分けが今のところしっくりきてます。

趣味の時までゲーム感覚だと純粋に楽しめません(笑)

ゲーム感覚で過ごすイメージを掴むため参考資料

上から自分を見ているときは、感情は抜きにしてロジックで物事をゴリゴリ進められます。クリエイティブに関わる人は、エモーショナルなスイッチを意図的に入れたほうが捗ることもあるかもしれないですけど。

この視点の移動ができるようになると、さまざまな事象に対して「悩む」ことはほぼなくなり、「考える」ことに頭のリソースを使うことができます。

「転職」or「残留」の判断で悩んでいる人はぜひ試してみてほしいと思います。

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